Dark Model – Danse Macabre (Dance of Death)

Danse Macabre

この曲はクワイア(合唱)をフィーチャーした、ミステリアスで少し不吉、そしてとてもアップリフティングなトラックです。私がこの曲のスケッチを始めた時は、このアルバムバージョンよりもずっとテンポの遅い曲でした(BPM120位)。また、クワイア・サウンドを使うことは当時考えていませんでした。初期のバージョンはどこかひねりやパンチが足りないなと感じていたので、曲に何らかの激しさや「ショック」を決定的に与えてくれるようなブレークスルーが思いつくまでは、この曲を放置しておこうと決めたのです。それが今から5,6年前、実はDark Modelのファースト・アルバムに取り掛かってすらいない頃の話です。

その後、「Saga」のための曲を幾つか同時進行で制作している最中に、この曲を形作ることになる重要なアイデアが一気に頭に浮かんで来ました。そのアイデアとは中東風の主旋律、重層的なクワイア、マッシブなビートと唸るベースの組み合わせ、そしてバロック的なドロップ(ブリッジ)の部分などです。この曲の制作を再開してから、ラフミックスが出来るまでにはさほど時間がかかりませんでした。「Inferno Suite」や「Rage and Redemption」など、「Saga」の他の収録曲に集中的に取り組んでいなかったら、この曲が完成に漕ぎ着けることはなかったと思います。

私はよく、多くの作曲家が「コンポーザーズ・ブロック」(作曲に行き詰まること、スランプ)に陥ると聞きます。コンポーザーズ・ブロックを乗り越える方法は沢山あると思いますが、私は「セレンディピティ」、すなわち、思いがけない発見のパワーを最大限に利用することをお薦めします。今あなたが取り掛かっている曲にタイトな締め切りがない限りは、いったん放置して、他の何か別のものを作曲した方が良いでしょう。ただし、音楽を作る行為自体を止めてはいけません。狭い意味で言うと、セレンディピティは、あなたが同じクリエイティブな活動をし続けている時にだけ働くことになっています。

ところで、皆さんの中にはこの曲が、カミーユ・サン=サーンスの同名曲からインスパイアを受けたと考えたかもしれません。そうではありません。もともとこの曲のタイトルとして、私は「Death Wish」というのを考えていました。しかしそのタイトルが、1974年のチャールズ・ブロンソンの映画(もしくはブルース・ウィリスによる最近のリメイク)を彷彿させすぎるきらいがあるので、このタイトルのアイデアは却下しました。あの映画は好きですが、イメージや雰囲気がこの曲とは随分開きがあるのです。次に「Dance of Death」が浮かびました。当初はブルース・リーの1978年の映画「Game of Death」のタイトルをちょっともじったみたいに聞こえましたが、この曲の持つ激しく、世紀末的な雰囲気によくマッチしていると思ったのです。とはいえ、少しありきたりな感じもしました。

そこで更なるひねりを求めて、私は文学を専門としているアメリカの友人に相談しました。このトラックを聴いた後、彼はこのタイトルのフランス語バージョン「Danse Macabre」はどうかと提案してきました。そして「この言葉は死の普遍性に関するフランスの中世後期の寓話に基づいたアートのジャンルを指すもので、しかもこのフレーズの起源は、このフランス語バージョンの方だと思うよ。」と教えてくれたのです。私は「Dance of Death」が一般名詞的なフレーズではなく、きちんと語源を持つ固有名詞的なフレーズだったことを知らなかったものの、このフランス語バージョンの響きが気に入った上に、(色々と調べてみると)この寓話とこのトラックの間にかなり共通の世界観があることを発見したのです。

ですから、私は最終的に「Danse Macabre」をタイトルとして選びましたが、この曲のオリジナルのコンセプトやインスピレーションは「Danse Macabre」の語源やそれにインスパイアされた作品とは全く違うところから来た、というのが実際のところです。

下記にこの曲を説明した幾つかのレビューを紹介します。音楽と共に楽しみ下さい。

「『Danse Macabre (Dance of Death)』は、エキゾティックなメロディと甲高く鳴るシンセのラインを持つ、傑出した曲である。この曲は、クールなビデオ・ゲームのサウンドトラックにもよく似合いそうだ。」

(Jon C. Ireson, Music News)

「『Danse Macabre (Dance of Death)』はテクノ的なエナジーとグルーヴィーなヴァイブを持った、重層的なトラックだ。コーラルの合唱がリフレインの間を紡ぎ、力強いブレイク・ビートとシンクロする形で、曲を構成していく。」

(My Nguyen, The Celebrity Cafe)

「『Danse Macabre』は、非常に作りこまれたアニメーションのサウンドトラックのようだ。ヴォーカルトラックだけでもトランス状態に引き込まれる。」

(Johnny Taylor, Now Hear This)

BPM: 150
Keywords: クワイア、熾烈な、ダーク&ヘヴィ、中近東風、トゥッティ/インパクト、ミステリアス、ドラムンベース
Composed and produced by Tatsuya Oe

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